2009/02/01

気になること

会報を作る時期、自分の文を書き上げる日が迫っているのに、はっきりしたテーマ、「これを皆さんに伝えたい」「皆さんと一緒に考えたい」というものが浮かびません。

胸とお腹のあたりに気持を集中して「何が気になっているのだろう」と問いかけてみる。しばらくの間。…「早く家の中を整理しないと」という言葉が浮かぶ。母が亡くなった後、母のものも、自分のものも整理して…それは分かっている。他のこと――やはり道草の家の青年たちのことが浮かぶ。いい方向に変化があった人、調子が悪くなった人、変化がなかなかない人…それから、NPO法人として活動をもっと充実したものにしたい…。

           青年たち

やはり青年たちができるだけ自分を肯定でき、自分らしく生きいき生きられる方向に歩んでほしい――ということが一番思うことです。最近一歩、二歩と踏み出した青年がいて嬉しく思います。それは急に――という感じです。

ある青年は1年以上通って来て青年の集いに参加していましたが、自分からはまったく話さず、質問に簡単に答えるだけの日々――が、急に自分から質問したり、答える時も色々と話すようになりました。それは、自分から話さなくても、他の人の会話を聞いているだけでも、言葉のやりとりが、体の中にはいっていたのでしょう。その2週間位までは、私の質問「この集いで話をすることは、来ている人と話し合い親しくなって、色々話せる仲間がほしいからか、それとも、アルバイトをするためにコミュニケーションの力をつけていからか」に対して、「仲間がほしいからではない、アルバイトのためのコミュニケーションができるようになりたいから」と答えていたのが、急に自分から質問したり声かけたり、自分の考えを言うようになりました。不登校になってから10年近く家族以外の人と話したことがなかったのですが、他の人に関心を持ち、仲間との会話を楽しむようになりました。青年たちが自分の悩みを話している場でも、適格な質問をしたり自分の考えを述べたり目を見張る変化です。

もう一人の青年は1年近く集いに参加していましたが(間が1ヶ月以上もあいたり、ポツポツという感じで通ってました)、自分からは話さないし、質問にもなかなか答えられない時があったりしていたのが、先日「相手のことを知りたい、とか、興味のあることを質問してみる」ことを順番にやってみることにして、彼に「質問してみて」と言ったら、彼は隣の青年に質問しました。そして、相手の答に自分のことを話したり、また質問したり、言葉のキャッチボールができ、会話が続きました。場面を設定して話易くすれば、きっかけを与えれば、できるんだ!――と嬉しく思いました。

また、「青年の思い」の中でも紹介しましたが、青年たちがグループで話し合うことの効果も感じます。今までも「アサーション(自己主張)」とか「認知行動療法」の時間を設け、お互いに悩みを話し合いながら、解決の方向を探る――ということをやって来ましたが、特にそういう時間を設けなくても、自然にそういう話し合いがなされることがあります。
ただ、こういう話し合いに参加できない、他の人と交わる(特に同世代)ことができない青年もいて心が痛みます。

中学や高校でいじめに合ったり、集団にはいれず疎外感を感じたりして、アルバイトをしても人間関係がうまくいかず、辛い思いをし、他人にも自分にも強い不信感を持ってしまった…青年たち。

ある青年は高校時代、集団行動に苦痛を感じ、自分はサラリーマンにはなれない、と思ったと言います。と言って他の職業のことは何も知らず、高卒後いくつかアルバイトをしたが、人間関係が難しく続かなかった。その後も、必死に応募しても採用まで行かず、一人で絶望的になったまま、「自分は働けない」という思いから抜け出せずにいます。「卒業までに色々な職業があり、自分にはどんな職業が合うか、を知りたかった。その機会があればよかった」とも言います。

またある青年は高校でいじめられ、それに親や教師が十分な対応ができず、何年もそれをひきずっています。自己肯定感が持てず、傷つき易く、しばしば怒りになります。他の青年とも共通するのですが、高校生に出会うのが非常に苦痛です。

相談される方のお子さんは、他の人に会えない、同世代のグループにはいれないという場合が多く、心のことは触れたくない青年がいます。(訪問などで私と話しながら、グループには参加しないで、働き出した青年もいるので、必ずしもグループ参加が必要ではないと思いますが)

人と会うのも苦痛、働くことを考えるのも苦痛、働くことは恐怖、という青年に、親や私たちはどう関わったらいいか。不安や恐怖をとり除く努力をするか、「働かなくてもいいよ」と言って上げれば苦痛はなくなるのか、その子にとって何が幸せなのか――

          啓蒙活動について

NPO法人としての道草の家の活動を広く知ってもらいたい、と同時に地域の人、一般の人にも役に立ちたい(道草の家の人材を生かして)という意味で啓蒙活動を積極的に行いたいと考えています。

その一つとしてコミュニケーションワークを公民館で行いましたが、前回は道草の家の青年やスタッフなど関係者が多かったので、(充実したワークで「継続してほしい」という声がありました)、次回は主として一般の方を対象に8回シリーズで4月から行う予定です。

もう一つは内部向けに(主として青年や親の方対象、どなたでも)ミニ講演会を開こうと考えています。まず理事の方たち、ユニークで豊富な仕事や活動をされてますので、その体験を話して頂くことにしました。(隔月に)

まず最初に3月15日(日)に帝京平成大学教授(生体情報学)の溝手宗昭先生に「興奮と抑制」というテーマで話して頂きます。(くわしくは3月号で)

           過去のこと…

今の家に住んで22年(その前は2~7年毎に5回転居)、なんと沢山の使わないもの、いらないものがたまってしまったことでしょう。

捨てるもの、とっておくものを判断しながら…若い頃書いた日記や読んだ本、そして友だちと作った文集など、50年のものがたまっています。老後にもう一度読む時間があるかもしれない、過ぎ来し年月を、後悔を伴わないで味わうことができる時が来るような――気がして捨て切れずにいます。

最近まで後悔ばかりしてましたが、少しずつ、ひきずる時間が少なくなって来ました。難しさも感じますが、自分に合った仕事と思いますし、青年たちから元気を貰ったり、多くの方に支えられているのを感じるからかもしれません。

和田ミトリ