2009/01/01

新しい年への思い

 新しい年が明けました。

 昨年は多くの人が、ますます生き辛さを、先に対する不安を感じる年でした。

 若者にとっては一層、先に見通しがつかない不安を強く感じることでしょう。

 でも社会がそうであっても、自分自身が新鮮な体験をし、好きなもの(人)に出合ったり、開ける感じが得られる――という可能性と、そういう自分を少しでも信じられれば、その何分の一かは実現できるように思います。

 自分への可能性、期待を持ちたいものです。

 平成21年 元旦

スタッフ一同

元旦の思い出

 新しい年になりました。皆さんはどんな気持ちでしょうか。

 新しい年だからと言って、何も変わらない、いいことも起きそうもない、という人と、何かしら新しいことが起きて、いいこともありそうな…という人もいるでしょう。

 そして、お正月というと、どういうことを思い出すでしょうか。

 大人になって、主婦になると、結構お正月もあれやこれやと忙しく、新年、元旦をゆっくり味わうこともあまりできなくなりましたが、私は、福島県の田舎での子供の頃の元旦が最初に浮かびます。朝早く、日が指す前、友だちと八幡様にお参りに行った時のこと、冷たい空気の中、雪の残る不規則な段々を登り、拝殿の前で手を合わせる…何か新鮮な気持ちを感じました。(何を祈ったかは全然思い出せませんが)

今の日本社会

 そんな頃からもう60年がたちました。色々なことがありました。自分のことだけを考えて過ごしてもいい、好きなことに熱中できる無邪気な子供時代は終わり、自分の家族のこと、子どものこと、そして道草の家の青年たちのこと、社会のことなど、考えざるを得なくなりました。

 去年の暮れから国民の経済的問題は一層厳しくなり、職を奪われ、住む家、寝る所も奪われた人々が寒空に放り出される状況が起き、胸が痛みます。

 戦後の上昇期、高度経済成長期からバブルがはじけ、そして米国から始まって世界に

広まった、グローバル化、新自由主義の影響を受け、日本は、規制緩和を強行しました。それは、社会全体の人々のためというより、企業の利益追求を、競争主義を押し進めるだけでそれに加われなかった人は、「自己責任」として無視されて行きました。

 そして、昨年後半に世界をおそった金融危機は日本にとっても戦後最大の危機とも言われます。それは資本主義、新自由主義、ひたすら成長を優先した、その矛盾の行き着いた所、来るべきものが来たとも言えると思います。

 私は、ひきこもる青年が増えていることは、社会の矛盾、高度成長を押し進めた競争主義、効率主義の矛盾を“警鐘”するものだと思い、述べて来ましたが、今や、現実になりました。繊細でまじめである故、学校や職場での競争主義、効率主義について行かれず、社会に出ることに不安や恐怖を感じる、ひきこもる青年という一部の問題ではなく多くの人々の問題になりました。格差は大きくなるばかりで、お互いに助け合う、思いやる――と言うことを忘れた結果だと思います。

 私が関わっている青年の中にも、不況の波で、仕事が続けられるか、収入も少なくなるのではないか――親が殆んど収入がなく、安定剤などを飲みながらやっとの思い働いている――と一層不安に陥っている青年もいます。経済的な不安がなければ、もっと楽な気持で働けると思いますし、経済的援助を必要ですが、私ができることは彼の思いを、電話で聴くことだけで、どう他の援助に呼びかけていいか、考えあぐんでいます。

新しい年への望み

 でも、このような社会ですが、一方では日々の中にささやかな楽しみを見つけたり、新しいことが起こりそうな期待を感じることはできます。

 道草の家では昨年NPO法人になって、新たな活動として啓蒙活動「コミュニケーションワーク」を近くの公民館で行いましたが、これを更に続けるか、違った活動をするか、理事会でも話し合いを持つ予定です。

 また、青年たちと一緒の活動にも新しい転回が起こりそうな…昨年、新しい青年たち(男女)が加わり、何か新しいアイディアを出してくれそうです。また、男性ボランティアスタッフ(様々な仕事の経験を持っている)も加わりましたので行動的な、或いは仕事につながるような体験ができるかもしれません。そんな中で青年たちが自分の好きなことを見い出せたら、と思っています。

 そして後の「青年の思い」の中で述べているように青年たちは前向きに新しい年に自分のやりたいことを考えています。「資格をとりたい」とか「コミュニケーションをとれるようになりたい」「もっと人と交わりたい」など、人間関係を作る能力を高め、それを楽しみたい欲求を持っています。

 就労状況が厳しい今、空白のある青年にとっては一層厳しいでしょう。ここは開き直って“じっくりと力をつけ、力をためる時間”だと思ってはどうでしょうか。この時期、焦らずに自分の特性を見つけ、それを生かす道を探すことを第一にしてはどうでしょうか。

 親の方たちも、まわりの方も、青年たちを見守り応援して上げて頂きたいと思います。そして道草の家の活動に新しいアイディアを寄せて頂けたら、と思います。

 私自身、個人的なことでも道草の家のことでも、先のことをマイナスに考えると、不安とユウウツさが起こり暗い気持ちになります。先のことは分からない――だったらプラスに考えよう、そうすると胸がふわっとなり、明るい気持ちになります。うまく行かなくてももともと、楽観的に、いい方の夢を持ちたいと思います。楽観的でないと脳の回路がうまく働かないそうです。“できそうだ”と思うだけでも脳の回路がよく働いて、エネルギーも出て来て、実現する可能性も高まると思うのです。