2014/02/01

水仙

  訪問先に向かう途中、道路のコンクリートの割れ目から水仙の真直ぐな葉が数本伸びているのが目につきました。「強いな」と心の中で思いました。1月末、寒い日です。でも道路沿いの家々の庭に目をやると、暖かい日差しがある方には、水仙の花が咲いているのが見えました。もう春が近づいている、「自然は季節を忘れない」なんていう言葉が浮かんで来ました。

 今年の冬の寒さは耐え難いものを感じて、今年は特に寒いのか、・・・体力的に落ちてきたのか、など考えますが、年相応かもしれません。はがゆさも感じますが、これも”自然”なのかもしれません。庭の雪柳にも小さな芽がびっしりついているのが見られ、春は”遠からず”やって来るでしょう。もう少しの辛抱です。


「少女は自転車に乗って」

 若者たちは、これから体力、精神力も伸びて行くはず、今”ちぢこまって”いても”春が来る”と信じたいのですが、なかなか難しい面があります。自分には”未来がある”と思えない――家にひきこもっていても、他の人と交流がある場合も――若者が多くなっているように思います。

 去年11月の会報で”孤立無業”について述べました。

 社会の中で、「自分は受け入れられていない」「自分の居場所がない」と思ってしまう・・・なぜでしょう。

 先日、サウジアラビアの映画「少女は自転車に乗って」を見ました。そこでは女性は様々な面で自由を奪われています。女の子も外では頭から足元まで黒いサリーを着けなければならない――など。

 でも、ある小学生の女の子は近所の男の子が自転車に乗っているのを見て、「自分も乗りたい!お金をためて買うんだ!」と思い、お金をためることを色々考えました。最後は、分厚い伝統の詩集を暗唱する競技に挑みました。一番うまく暗唱できた人に賞金が出る、ということで、勉強が苦手な方なのに、一生懸命覚えて、練習して、一位になりました。

 そして、自転車屋で目に付けていて、とっておいてもらってた自転車を買うことができ、それを乗りまわしている少女の生き生きした得意げな表情!

 他にも映画やテレビで、貧しい国の子どもたち(若者の多くも)が生き生きして、キラキラした目をしているのを見ます。

 どうしてなのでしょう。(日本との違いは?)

 色々なことが考えられますが、一言簡単に言うと、「他と比較しない」ということかと思います。

 日本では他と比較して「自分は劣っている」と思うことが、小学生の頃からあるようです。中学生ではそれが強くなって、勉強やスポーツだけでなく趣味的なことも比較しがち、或いは”合わせる”ということが多くなっていると思います。

 私の子どもの頃はそんなことはなく、友だちは”遊び相手”で勉強など比較しないで、一緒に遊べばよかった時代です。

 今は、一度不登校になったり無職になったりすると「もう自分はダメだ」と思ってしまう・・・ことが多いです。

 それからもう一つ、この頃感じるのは、中近東の国々を旅するドキュメンタリー番組で、旅人が歩いているその地の人に色々尋ねると、「どうぞはいって家の中を見て下さい」とか「一緒にお茶を飲みましょう。(食事の場合も)」などと気軽に旅の外国人を招き入れるのを見て、”人への信頼”があるのだなぁ――とつくづく思います。


――他の人、他の何かに役に立つ――

 先月号では、(ロゴセラピーでは)自分だけに、自分の気持だけに目を向けないで、「他の人に他のものに目を向ける」ことについて述べました。そうした時に、自分が何かの役に立っている」或いは「人に助けられている」ことに気づくだろう――と。

 でも、その”役に立つ”ということは、そんなに大きなことではなく、子どもを育てるとか、親の世話をするとか、職場で自分に与えられた仕事をする、ということでもいいのです。「もっと社会に役に立つことをしたい」という思いも大切ですし、その思いが自分に力を与えてくれるかもしれません。(私の文に感想を送って下さった方がいて、嬉しく思いました)


――自己距離化――

 自分の視線を「他の人に他のものに」向けると同時に自分を少し離れた所から距離をおいて見ることも大切だ、とロゴセラピーでは言われています。離れた場所から自分を見たら、どう見えるだろうか――どういう自分か、客観的に見ることができ、何か気づきが起こるでしょう。この”自己距離化”の能力は他の動物にはなく、人間にしかない能力です。












――精神次元――

 「人の役に立ちたい」という思いが無意識にあって、瞬間的に行動する――ということ、例えば、子どもやお年寄りが転びそうになったら瞬時に助ける、ということを誰しも、自分がしたり、他の人がしたりしていることを見かけるでしょう。

 それは、ロゴセラピーでは人間には「精神次元」があるからだ、と言います。

 動物には身体次元(本能的なもの、体を動かしたり、体で感じるもの)、心理次元(優しさなどを感じたり・・・)はありますが、精神次元はありません。なかなか説明するのは難しいですが(私も学びの途中です)、ゼミの資料から3つの次元の関係図を転載させてもらうことにします。