2009/05/01

生きづらさについて(2)

生きづらさについて(2)

   年会費ありがとうございました――これからも!

 4月に年会費をお願いしたところ、多くの方から送金して頂き、本当にありがとうございました。
 ただ、郵送費としてはまだ不十分ですし、充実した活動、運営のためにも、これからでも結構ですので送金して頂ければ大変助かります。
読者の皆さまよろしくお願い致します。


            アダルトチルドレン

 先月から、青年たちの生きづらさを考えているのですが、「人間関係がうまく行かない、しんどい」「気を使いすぎ、傷つき易い」などが多く、これは、、機能不全な家族で育った、いわゆるアダルトチルドレンの行きづらさでもあるようです。
 機能不全とまででなくても、いつも“いい子”でなければならなかった、素直な自分を出せなかった、――親の価値観や育て方で――ということが、大人になっても人間関係がしんどく、自信がない(ありのままの自分を信じられない)につながるようです。

 

「アダルトチルドレンの癒し」について書かれた本のチェックリストには40ほどの項目がありますが、青年たちと関連のがあるものをあげると

  •自分に自信がない
  •自分に対して過酷な批判をする
  •自分は生きている価値がないと思う
  •人生を楽しむことが下手である
  •他人から認められたいという気持が強い
  •摂食障害を起こしている
  •他人の目が気になる、被害妄想に陥りやすい
  •抑うつ状態に陥る

 私自身も生きづらさを感じて来ましたが、両親が仲が悪いというわけではなく、半分自分の意志で9才で養女になり、養父母との信頼関係が出来ないまま、思春期になり、大人になってしまった。
 大家族から3人になり、寂しさを感じながら、それを素直に出せず、「帰りたい」とも言えず、子供心に諦めを感じてしまった。
 大人になってもなかなか自己表現、自己主張ができず、自信がなく強い言葉にはひいてしまうような…そして時々うつ的になったり。

 でも、私の子ども時代は、勉強はそんなに重視されず、時間もあって、よく遊んだこと、友だちと楽しく遊ぶことができて大人になっても楽しむことができます。好奇心もあり、好きなこと、したいこともあります。
 ですが、青年たちの中には、子供の頃、楽しかった思い出がなかったり、今も好きなことも特になく、したいことも分からない、と言う青年もいます。

 そして、青年たちは「他人から認められたい」という気持が強く、「人と同じようにできない自分」――「働いていない自分」とか、「年齢相応の社会性がない自分」を“ダメだ”と思ってしまう。人それぞれだから“ありのままの自分でいい”とは思えない。
 「ありのままの自分では人に受け入れられない」(親にも人にも)という思いが心にしみついていると思われます。

 そこには、親が自分の思い価値観通りに子どもを育てたい気持が強く、子どもの気質に合わせたり、子どもの気質を尊重することに気づかなかったりして(親と子の気質とか時代環境も違う)、愛情がなかったわけではないのに…ということもあります。

 親が人に合わせること、協調することが苦にならないため、(性格的に外向的で、自己表現もできて)子どもにそれを求めるとか、母親が父親や祖父母に非常に気を使ってるのをみたり、聞いたりして、或いは両親の仲がとても悪く、中をとりもったりして、「母親のことが心配、支えなくては」との思いも起こり、我がままも言えず、「いやだ」とも言えない…そんな子ども時代を過ごしたことが想像されます。


            インナーチャイルド

 皆さんは自分の子どもの頃、小さかった頃を思い浮かべるとき、どんなイメージ、姿が思い浮かぶでしょうか。
 笑っている小さい子、泣いてる子、怒ってる子、何か訴えてる子、或いは何も浮かばない方もいるかもしれません。
 私は、笑ってる小さな子が浮かぶのですが、それを浮かべるとき、悲しい気持になります。小さな頃の悲しさがまだ癒されないのかもしれません。

 多くのアダルトチルドレンは、子どもの時心に傷つき、その癒し方が分からなかったため、その傷あとが残ったまま大人になってしまったと言えます。
 自分の心の中には、大きな傷のため成長が止まってしまっている子ども――それをインナーチャイルド(内なる子ども)と言います――が誰にも(大人になった本人にも)理解されず、認められず、愛されず、小さくなっておどおどしながら心の中にうずくまっているのです。

 インナーチャイルドは本来はその人の気質、性格と、子どもとしての普遍的な天性を持ったもので、本当の自分と言えます。

 生まれて間もない赤ちゃんから、育って行く赤ちゃんのイメージはどうでしょうか。
 あどけなさでいっぱい!自分の興味のまま動き、自分の気持のまま泣いたり笑ったり、そして新しいことに挑戦し、学ぶ力、好きなことに集中する力があります。

 でも、人と一緒に過ごす時、自分が好きなことだけを言ったり、したりして生きて行くわけには行かないのをだんだんと知って行きます。そして大人に近づくにつれ、様々な人と出会い、社会のルールに従うことも必要になって来ます。自分のインナーチャイルドと、大人として自制する部分とを折り合いをつけて生きて行くことになります。

 ですが、アダルトチルドレンは、インナーチャイルドが傷つき、抑えられて、成長しないため、ありのままの自分を認められず、ありのままの自分を出せず、(自制することも言葉を選ぶことも必要ですが)自発性や個性が出せずにいつも本来の自分を生きていない不全感を感じている、それが生きづらさの主な要因ではないかと思います。そして青年たちだけでなくその親の方も、私も、多かれ少なかれアダルトチルドレンではないかと思われるのですが。

 アダルトチルドレンから抜け出し、本来の自分をとり戻すには、インナーチャイルドを癒やし育てていく必要があると思います。どうしたらインナーチャイルドを癒し育てて行かれるか、関心のある方がいらしたら、一緒に学んでいきたいと思います。
 (参考文献 「アダルトチルドレン癒しのワーク」
          西尾和美著 学陽書店)

和田ミトリ