2010/01/07

「道草の家」会報100号を迎えて

 11月号を作っている時、青年から「12月でちょうど100号になりますよ。記念号にしたら?」と言われました。「あ、もう100号になるのだ、いつの間に!」毎月毎月、休まずにとにかく発行することだけを考えて来た8年4ヶ月です。

 道草の家の活動を始めて1年たった時、(2001年9月)青年の集いに参加している青年から「たまにしか来られない青年や、こういう居場所に『行ってみたい』と思っている青年に、毎月のスケジュール表と、ちょっとした文、お誘いの文や感想などを載せたお便りを送ったら?」という提案があり、毎月お便りを出すことになりました。
 しばらくは6頁でしたが3年ほど前から8頁になり、内容も豊富になりました。カットも最初はカット集からとっていましたが、イラストが描ける青年(女性が多い)が現れ、オリジナルなものになりました。内容とは特に関係なく描いてくれたものを、活字に打ち込まれた文や詩の間のスペースに組み入れて行くのが私の楽しみとなり、「これで今月号も出来た!」と心の中で叫びます。

 とは言え、100号記念号としてどうしたらいいのか、十分考える余裕のないまま過ぎてしまい、ただ青年たち、特に仕事を始めたりして青年の集いにあまり来なくなった青年に呼びかけ、「私と道草の家」というようなテーマで書いて貰うように頼みました。親のかたにもお願いしました。数はそう多くはありませんが、嬉しい言葉を頂きました。

 

         いいこともやなこともあった・・・

 私の子どもより若い青年たちと日々接しているのですが、「自分の未来は考えられない」「自分は何もできない」「自分はこれから社会の中で生きられそうもない」「苦しみしか考えられない」など、絶望的になったり、諦めてしまっている青年がいます。
 私の生きてきた年数の半分にも満たない、1/3にも満たない青年たちがこんなふうに思う…どんな言葉をかけたらいいのか、青年の心に響くような言葉は何か。思い悩みます。

 わたしは思春期頃から、人と話すことに、判断することにコンプレックスを抱いてきました。色々と悩んで来ました。この頃になってやっと青年たちと話せる、親御さんとも話せるようになった(勿論、十分ではありませんが)と感じ、やっと成長したな、と思います。今だに大勢の前で話すのは苦手ですが。

 青年たちの多くは、私の若い頃より表現力があるように思います。感性も知性も豊か…なのに絶望し、諦めてしまって「これからも同じ」「社会に出れば同じ苦しみを味わうことになる」と思ってしまう。・・・それだけ辛い、苦しい経験をした――ということかもしれませんが。

 でもちょっとでも楽しいこと、嬉しいことはなかったでしょうか。私は失敗も多くし、苦い経験も沢山しました。挫折も何回となくしました。でもいいことも楽しいこともあったと思います。本が好きだったり映画が好きだったり、絵が好きだったり(観ることが中心)自然にひかれたり、好きなことが色々あったからかもしれません。
 青年たちが、少しでも自分が好きなことして、これから楽しいことを嬉しいことを見つけて行かれるのではないかと思うのですが。

 そして、人間色々の生き方があっていいはず。一般的な生き方でなくても人と比べないで、“楽しさ”を、小さなものでも、大事にしながら、自分の生き方を見つけてほしい、と思います。
(でも、簡単にそうは思えない――という青年の声が聞こえて来そうです。)

 ただ、人は一生かけて成長するのではないでしょうか。社会に出ている人も、“成長した人”というわけではなく、色々と未熟な面があります。例えば感情が育ってない人が多いのを感じます。

 

                本来の自分

 人と交わりを避けている自分、人とうまく交われない自分、働いていない自分、働いていても思うようでない…をダメな人間として自分を責めている青年が多くいます。今の自分を受け入れられない…「ありのままの自分を受け入れることから動き出せる」とよく言われます。でも、ありのままの自分、ダメなところがあるのを受け入れられればいいですが、“もっとよく生きたい!もっと違う自分になりたい!”と思うのも自然です。精神的に落ちこんで動けなくなった時、そういう自分を責めていれば、ますます落ちこみ、動きがとれなくなってしまいます。悪循環。

 人間には、色々な面があります。落ちこんでいる自分も自分の一部かもしれませんが、自分の生きいきした面が隠されてしまっているのだと思います。人間、生まれたばかりの赤ちゃんは、自分をダメな人間とは勿論思いませんし、自分の欲求のまま快、不快で、喜んだり、泣いたりします。赤ちゃん、幼児は生き生きと笑い泣き、怒り、そして自分で楽しいことを見つけて、遊びます。・・本来は人間はこのようではなかったのでしは?でも、文明が発達すればするほど、無邪気にすごす、ということは難しくなります。或いは、その国による社会風土、社会状況によっても。日本は精神的に生き辛さを感じる若者が多くなってるように思います。
 本来の自分を取り戻してほしい!!

 SAT療法に「未来自己イメージ法」「宇宙自己イメージ法」という本来の自分を感じる心理療法があります。SAT未来自己イメージ法は、大まかに言いますと、強力なスポンサーがいて、支援してもらえると仮定して、自分がやってみたい「愉しいこと、リラックスすること、幸せなこと、元気が出ること」をイメージしてみる。十分イメージして満足したら、自分に自信がつけるように、何かチャレンジするか、学習することをイメージする。自信がついた自分が十分イメージできた時、「フッと浮かぶ自己像(表情や服装や人柄など)が、“本来の自分”――というものです。
 もっと自分でも、肯定できるような本来の自分、本当の自分がいるはずです。一緒に見つけませんか。