2012/04/03

アイヌの人たちの生き方

 新しい文明の「創造」――なかなか見当がつきませんし、狩猟採集の時代に戻るわけにも行きません。でもその要素を持っている人たちの暮らしはあります。



 先日はテレビでブータンの生活が放映さえていましたが、道路を作る時に山にトンネルを作れば短距離になるのに、それをしない。なぜなら「自然を傷つけたくない。そのまま大切にしたい」と言ってました。

 そして、千葉県君津市の山奥に、アイヌ民族の長老が暮らしており、カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)という施設がある―という新聞記事を読みました。その長老の浦川治造さんの生活、生き方を追ったドキュメンタリー映画が上映されているのを知り、観に行きました。北海道に住む先住民族アイヌのことは多少興味を持っていましたが、改めて、現在もその伝統を守り、それを伝え続けていることを知りました。

 北海道のアイヌの村は、内地から多くの人が移住して来たり、国の政策によって、だんだんと、浸食されて行き、”先住”なのに偏見も受けました。治造さんも生活のため東京に出て様々な仕事をして来ましたが、同時に、出身地の北海道や千葉県のカムイミンタラの他、全国各地に、アイヌ民族の伝統を伝える施設を作りました。

 アイヌとして生まれ、育ち、今もアイヌとして生きる治造さんの暮らしに常に自然と共にあり、先人から受けついだ知恵、生き方が描かれ、自然を敬い、自然への感謝を忘れない・・・動植物や自然現象などに「カムイ」が宿っているという”自然に生かされ、自然と共に生きる”姿が現実にある、ということを知り、感動しました。

 そうした生活を、私たちがすぐ出来るわけではありませんが、それを実際に見たり接することは、何かを感じるのではないか、と思います。私の幼い頃は薪でご飯を炊き、風呂をわかし、暖炉裏がありましたが、今の青年たちには想像もつかないでしょう。でもカムイミンタラでしばし過ごすことは、心が癒され、生きるヒントがわずかでも得られるのでは、と思います。



カムイと生きる(パンフレットより)
天から役割なしに 降ろされたものは ひとつもない
それは アイヌに伝わる言い伝え
この大地に生きるものすべて
空や大地や水との関わりなしに
生きることはできない
人間より”力”のあるものが
カムイである
火のカムイ 山のカムイ 川のカムイ 風のカムイ
 (以下略)