2012/09/07

こころ

 文明が発達するにつれ、本能のままに生きられないことが多くなりました。こころが複雑になって、また微妙、あいまいでもあります。心の問題は数式のように「2+2=4」というようなすっきりした解答があるわけではなく、難しさを感じます。

 青年たち(10代~40代の男女)も親の方も、そうした明確な解答がないだけに、モヤモヤした不全感をいつも感じているのではないでしょうか。はっきりした道筋、方法があれば、それに向かって努力したい、と思わない方はいないでしょう。

 今の社会(日本)に生きている、という運命かもしれません。他の国より複雑で、悩み苦しむ人が多いような気がします(ひきこもりの青少年が多い)。ある青年が「自分は社会に合わないように生まれた」と言いました。子どもの頃からグループで一緒に行動することが苦手だったし、社会に出ても(アルバイトをした)流れに乗れない、積極的に動けない、職探しもすごく難しかった、と言います。「親としてもどう答えたらいいのだろう」と、親も悩みます。

 私は、今の社会に合わないだけであって、他の時代、他の国だったら自分の特性を生かしながら生きられるはず、と思います。そして、青年たち、知性、感性など能力は豊かなのに自信が持てません。自信、自己肯定感が持てれば能力を発揮できるのに、と思います。(「青年の思い」の所で、自己肯定感について尋ねました)

 父親は、年齢的に大人になっても、働けない、自立できない子どもの事があまり理解できないのでしょう。伝統的にも働いて経済的に支えることが父親の役割というのがありましたし、自分は頑張って、仕事をやり抜いて来たのだから、我が子も頑張ればできる筈――との思いになる・・・

 男にとっては私的なことより公けの方が大切だ――という思いも昔からあって、会社優先の生活、(この頃の若い人は変わったようですが)子育て、家族のことにもそんなに関わらなくてもいいような錯覚があったように思います。自分もそう育ってきた(父親との関わりは薄い)のだし。

 でも社会の環境は変わっています。昔は、農業、漁業、そして街中の商店街など、親の働く姿や、近所の大人たちの働く姿や生活をいつも見て育っていました。

 子どもは、親の(他の大人の)生き方、生活の仕方を見て、学び取り入れて成長します(同一化)。そして、社会で生きるための社会性も身につけて行きます(社会化)。それが、今の、青年が育つ過程には余りなく、特に男子は、大人として、男性として、社会人として、父親から学べず、自信が持てないまま、成人したのでは、と思います。それが、ひきこもる青年が圧倒的に男子が多い大きな理由ではないか、と思います。(将来の期待が女の子より男の子に対して大きく、男の子の方がプレッシャーを感じる、ということもありますが)