2017/06/01

ひきこもりビジネスと支援


 
 先日、テレビで「ひきこもりビジネス」のことが放映されました。もう「ビジネス」としてとらえる人もいるようになったのだなと、ガクンとしました。
数年前にも名古屋のおばさん姉妹が、ひきこもっている若者を(親の了解は得ていますが)強引に連れ出し、施設に入れ、殆んどケアしないまま、事件が起きた、ということがありました。(少しは信念があったように思います)
今回は堂々と“ビジネス”としてやっており、〇〇円の費用を貰い、若者を連れ出し、アパートの一室に放置し、食事も満足に与えない、というものでした。

私自身も居場所を開いて間もなく17年になりますが、(あっという間に)、青年たちが、何とか、自己肯定感を得て何らかの社会参加、自立に向かうことを願って努力して来ました。最近は行政機関も理解を示し、一緒に話し合う機会を持つようになりました。
でも“ひきこもり”の問題は増々深刻になり、数も増えています。年金暮らしの親が、4、50代の子どもを抱えて何とか過ごしている状況も問題になって来ました。
そして、ひきこもりの子どもを抱えながら、それを行政や私のようなNPOにも相談に行くこともなく、支援の場を探すこともない方が多いようで、とても気になります。それは10代の不登校から引き続きひきこもっている場合と、いったん働いても、続かず、30代、40代、そして50代ひきこもる場合があります。
先日、ある親の会主催の講演会で、NPO法人教育研究所の牟田武先生が、私の様々な疑問を明確に整理し、話して下さいました。
家族と社会の間に“壁”がある。本人と家族の間にも壁がある。勿論、本人と社会の間にも壁がある――と述べています。
   家族と社会の壁――家族が相談に踏み出すことができない――孤立(家族全体がひきこもり状態でしょう)
   本人と家族の壁――家族内部のコミュニケーションの困難、(他人に話す力、関係を作る力が育たない)
   本人と社会の壁――本人に合う支援が行われていない
   について、「さらに親は状況を変えることへの不安、抵抗感がある」
それは子どもの暴言、暴力がやっと収まったのに、変えればまた起こるのではないか、という不安
どうしたら、その“壁”を取り除くことができるのか。
まずは、私たちのような民間人も、行政機関も、ひきこもりの本人や家族の支援をしている、力になりたい、と思っていることを伝えることでしょう。去年の暮、「千葉市ひきこもり支援事業」が民生委員や一般市民に呼び掛けて、「ひきこもりサポーター養成講座」を開きました。民生委員はどの地域にもいますので、その力は強いかと思います。また、各地の「保険福祉センター」からの呼びかけ、そして支援者につなぐことが、民生委員と共に、大切な役割ではないか、と思います。