2017/12/01

ひきこもりの理解


12月の後半に、千葉市ひきこもり地域支援センター主催の「ひきこもりサポーター養成研修」で、道草の家の活動を報告しました。同時に道草の家の青年の集いに参加している青年(男女)が体験発表をしました。ひきこもるようになった経緯や、ひきこもっているときの心の状態や、色々な相談機関や居場所に行き、そして道草の家にたどり着いたこと、そしてだいぶ落ち着いてきて――――と言っても心の揺れはあり、パートなどで働き出しても続かず、道草の家に相談に来たりしながら――自立に向けてかなり進んでいる2人でした。

また「日本精神保健社会学会」でも10数年前から、“ひきこもりの青年”との関わりを中心に発表して来ました。大勢の前で発表するのはとても苦手で(若い時から、いつまで経っても慣れません)、とても緊張するのですが、“ひきこもり”について、少しでも社会の多くの人に理解してもらいたいと思い、毎月会報を発行し、学会でも毎年、細々と発表を続けて来ました。

ひきこもり、ニートは、統計的には全国で何十万人、百万人以上とも言われていますが、実際に行政機関やNPOなどに相談に行ったり、居場所(まだ少ないです)の活動(話し合いなど)に参加する青年はわずかです。そういう意味でも、千葉市が「ひきこもり地域支援センター」を設け、一般市民に呼び掛けたことは(市報などで)、大きな進展だと思います。厚生労働省が「ひきこもり対策事業」とした各県や指定都市に「ひきこもり地域支援センター」を設けるよう指針を出し、千葉市が昨年より活動を始めました。

学会発表の時、「ひきこもりの青年から学んだことは何ですか」と聞かれました。

”学んだ”とも言えるかどうかと思いますが、感じたこと、知ったこと、考えさせられたことは沢山あります。

20年以上前から、民間のカウンセリングルームで、ひきこもりや不登校の青少年のカウンセリングをしたり、親の会に参加したりして来ました。

ある父親は「子供が働かないことを認めることは、自分の今までの人生を全否定することだ」と言いました。また「頑張ればできるはずだ、自分も頑張って来たのだから、石の上にも3年と言うではないか」という父親もいました。高度成長を生き抜いて来た男性には理解しがたいことかと思います。

また、ひきこもる青年が30代になる時、親も子も大きく動揺するとも言われました。

でも今は40代のひきこもる青年も多く、ある父親から「もう息子は50代になったので会報は送らないで下さい」と言われました。

今では、不登校、ひきこもりは怠けていることではない、むしろ真面目で、頑張りやであるために力尽きて鬱になったり、人に合わせすぎて疲れてしまって、仕事を辞めたり学校に行けなくなる―――ということがだいぶ理解されるようになりましたが、「みんなと同じでなければならない」「普通でなければならない」という社会風土はまだまだ残っていて、学校や親、そして本人も、それに捕らわれている場合が多いように思います。