2010/03/06

思ってもできないことがある



  科学が発達し、近代化社会になり、科学的に――科学で全て分かるわけではないのですが、――計算して、計画をたて、実行すれば、努力すれば計画通りに物ができる、という考えにもとずき、生産性が高まり、高度経済成長期が続きました。その中で病気に対する薬も開発されて来ました。
 努力すれば、計画が達成できる、成功する――という考えは、人々の中に浸透して、今の中高年は、そうした中で頑張って来て、高度成長を支えて来ました。今はバブルもはじけ、反省も出て来ましたが、でも、努力、頑張ることが大切だ、という思いは根強くあるように思います。
「なぜ働かないのか」「働こうとしないのか」(働きたくても働く場がない現状とは別にして)ニートやひきこもる青年に対し、疑問を感じる人も多いと思います。特に父親は、働くのは当然と思って来ましたし、外との交流を断ち、親にも心を閉ざす子どもを、或いは外に出られても、働こうとしない子どもをなかなか理解できない。また、男女問わず、仕事のことだけでなく、日常生活の中でも、人間関係などにも、頑張って、努力して、思うことができた人は、「やってみればいいのに」「やってみないとできるかどうか分からないのに」と思いがちです。
 私は「思うことが、思ってもできないことがいっぱいある」という感じで生きて来た様に思います。例えば人前で緊張して話せない(高校生の時、英語など当てられても、ささやくような声しか出なく、隣に座っていた男子に「蚊のなくような声で聞こえない」と言われました)、ぼーっとしていて気がつかない、気配りができない、勉強会でも発言できない…などここには気質、性格の問題(失敗を怖れる、傷つきやすさ、など。)もあるかもしれません。そして、それは育ち方も影響しているかもしれません。

和田ミトリ