2017/08/01

夕日、夕焼け

 もう8月です。蝉が鳴いています。“一生懸命”という感じです。ミンミンミンミーンの声は短い命を一生懸命生きているんだよ、と訴えているような。土の中の長い生活から、地上に出て8日間――。
夜は虫の声も聞くようになりました。自然の移り変わり・・・毎年同じように。8月はもっと暑くなるかもしれません。台風もまだまだ来ます。
千葉は自然の驚異を受けることは少なく、台風の目も免れています。(今のところは、)季節の移り変わりを感じさせてくれます。寒いばかりではなく、暑いばかりではなく・・・。  
そして地平線に沈む夕日と夕焼けの空。世界中どこでも、と言うわけにはいかないでしょうが、多くの地域で見られます。
ここ道草の家からはビルとビルの間にほんの少し見えます。大きなビルが建つ前は、夕日夕焼け、富士山も見えたのですが。
数年前に青年たちと「夕日を見に行こう」と言って、1時間くらい歩いて検見川の浜べに行きました。対岸に三浦半島が、海の向こうに低い山がたなびくように見えます、その上を夕焼けの中に夕日が沈むのが見えました。
ビクトール・フランクルの「夜と霧」の中に、収容所の中で心も身体もしんどい思いをして疲れ切っている日々の中で、夕焼けと夕日がすばらしく見えた時、仲間に伝えて、呼んで来てみんなで夕焼け夕日を眺める場面があります。「生きていて良かった」という思いが募ります。「夜と霧」が手元にないので、正確な言葉は分からないのですが。
そして、同じような場面を描いた本があることを思い出しました。「失われたものを追い求めずに」という題の「精神障害者の生活の記録」です。病院ではなく、仲間と生活するやどかりの里という施設です。
一人の青年が、病気による心身のしんどさに耐えながら生活していたある時夕焼けを見るのです。その場面は
「そんな状態の毎日を送っていたある日、突然僕の心は、生命力とでも言うべきものが湧き上がって来た。他に誰もいない、やどかりの里の一室から、目にしみる若葉と壮大な夕焼けとを心を満たしていた時である――。『生きていて良かった!本当に生きていて良かった』そう思えたのである。そんな気持ちが、どこから来たのかは分からなかった。しかし、若葉と夕焼けを眺めながら、今まで十年あまりの間、病の中で生き続けて来たという事に、僕は感動を覚えた。僕はそっと、両方の目に浮かんだ暖かい涙を拭った。」